③思春期中期の発達課題
「私は誰」の答えを、自分の心に求めていこうとする時期。異性との交流が始まり、また、進路を巡る葛藤や、家から物理的に離れることをめぐる葛藤、つまり「私はどこへいこうとしているのか」という問いへ現実的に答えていく課題に直面します。
高校生になると、中学生の自分の、外見や身体的なところで体験されがちな「私」の個性が、もっと精神的な「私」の個性として体験されるようになります。いわば、それまで、行動や身体を通じて表現してきたものを、言葉で、「私」を表現できるようになります。
それとともに、異性との付き合いも始まり、「性」が単に身体的なものから、「人」との情緒的なつながりであることを経験し始めます。それはまた、男の子が、男性性を取り入れ、女の子が女性性を取り入れることができてはじめて、異性を受け入れる準備ができるのです。そして、また、大学進学を目前にして、進路をめぐって、また、物理的に親から離れて生活を始めることをめぐって、分離不安が高まります。
④思春期後期の発達課題
社会人になるための最終的な準備の時期です。組織の中で、継続した一定した役割と責任を果たし、「仕事」を遂行するための訓練する期間です。これをもって大体「私は誰?」「私はどこへ行こうとしているのか?」という問いに一応の答えを出します。一応というのは、実は、この二つの思春期的な問いは、基本的には一生続きます。特に、人生の大きな節目、転職、離婚、病気等に直面すると、この二つの問いが再び活性化します。
大学生の時期は、社会人となるための最終的な準備期間ですが、一方で、人生の進路選択に沿った専門的な知識と技術を身につけるという課題と、サークルやバイトを通じて、擬似社会あるいは組織の構成員として役割と責任を果たすことが求められます。また、仲間づきあいは、同性であれ異性であれ、実務的にも精神的にもより継続的で深まりのある関係を構築できるようになります。