月別アーカイブ: 2022年3月

発達障害ワンポイントアドバイス(11)「時間」その②

 親からの分離はもう一度親にくっつかないと先に進みません。発達特性があると、この辺りで登校しぶりが始ったり、不登校傾向になることがしばしばあります。せっかく自分の部屋を作ってもらい、5年生から一人自室で寝始めたのに、また母親にベタベタ甘えてくる。母親の布団に入ってきたりします。こういう時には、「もういいお兄ちゃんなのにやめなさい」と突き放さないことです。だいたい、布団に入ってきたと思ったら、またすぐに出ていきます。「来るものは拒まず。去るものは追わず」という姿勢が最も良いでしょう。  というのも、この頃になると、学校では背伸びして年齢相応の部分を表に出します。他方で、家に帰るととても幼い部分が前景化し、子どもの中で、「大人的な部分」と「幼児の部分」のギャップに驚くことが珍しくなく、発達特性がある場合は、それが、より顕著になります。そして、数時間のうちでもコロコロと、着せ替え人形のように、「… 続きを読む »

発達障害ワンポイントアドバイス(11)「時間」その①

 無意識は無時間的と言われています。要するに、時間が経たないのです。過ぎてしまったことも、また元に戻せるという世界です。ところが意識は、現実に根ざしており、そこでは時間は過ぎてしまうと二度と元に戻ることがありません。「時間」の残酷な一面です。  インドにカーリー女神がいます。赤い長い舌を出して生首を掴んで踊っている恐るべき女神はシヴァ神の妻であり、ヴィシュヌ神の怒りと破壊性の部分の権化です。カーリーは「黒」を意味し、「黒」は破壊を示します。最も破壊的なものは、時間によって変化したものはもう元には戻らない現実であり、全てをやがては破壊してしまう「時間」だと言います。心が成長するということは、過ぎ去ってしまったことは二度と元に戻らないという、時間の現実を受け入れ、悲しむことできる能力を身につけることなのです。  児童精神科医の大先輩の小倉清先生が、ずっと以前、「10歳の時夕日が沈んでいくのを眺… 続きを読む »