月別アーカイブ: 2021年9月

発達障害 ワンポイントアドバイス(7) 同胞(きょうだい)について その2

2)家族全体の中で同胞(きょうだい)に割り当てられる「役割」とそこからの解放  同胞の個性の差は生まれつきの部分が大きいのですが、さらに、家族の中である役割が無意識のうちに付与され、「役回り」が固定しがちです。「いつも損な調整役」ばかり引き受けてしまったり、いつも「要領よく自分のやりたいことをやる」子だったり、「怒られ役」を引き受けたりします。家族の無意識のドラマのシナリオが、極端な役回りを同胞間に割り振っているという側面もあるのです。  子どもの元来の性分や能力によって、同じ両親から生まれた子どもであっても、これほど違うのかというくらい、同胞の個性が異なることはしばしば生じることです。しかし、生まれついた傾向のみならず、家庭の中で、知らず知らずの間に、その子にどういう役割が付与されてしまうか、また、その子がそういう役割を知らず知らずのうちに積極的に引き受けてしまうかということで、生まれつ… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(7) 同胞(きょうだい)について その1

 発達特性ゆえに人一倍手のかかる、育てにくさを持った子どもの兄弟、姉妹は、家族の中で特有の反応を示すことが多いのです。例えば、幼少期から手のかからない「良い子」で、親の助けもするし、「調整役」にもなってくれるし、消耗しがちな親にとって大変助かる子どもであったりします。しかし、そういう子が、当該の発達特性を持った子が落ち着きはじめると、「今度は私の番」と急に「困らせる子」になったり、あるいは、ずっと成人になるまで無風状態であったりしますが、それはそれで大きな問題です。また、「身勝手」に映る発達特性を持った子どもの言動にすぐに反応して、口論、暴力が絶えないとか、様々な、反応のパターンがありますが、いずれも、長い経過をとる場合が多いこともあり、それにより、同胞の健康な発達が損なわれることも稀ではありません。今回は、同胞について、焦点を当てて述べます。 1)同胞(きょうだい)が経験する「母親の関心… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(6)子どもの心身症 その2

2)子どもの心身症への対応  関係性の障害としての子どもの心身症という視点で、どのように子どもに関わっていけば良いでしょう。上記の「養育システム」の中に含まれる多様な関係性すべてに目配りをする必要があるので、例えば、家族システム以外に、学校や近隣、親戚の領域で関係性の調整を取り組む必要があることがしばしばあります。例えば、いじめや、友達関係のトラブルなどの時です。しかしその場合でも、親との関係性の中にも反映されてくることがほとんどなので、どのようなケースでも、親子の関係性をどう理解し、どう、関わって行くのかということは常に重要です。   親子の関係性ということを分かりやすく言えば、心を容器例えばコップに例えると、子どもの心のコップは、小さいし、発達特性があればより小さくなるので、不安や恐れ怒りなどの感情は、すぐにコップから溢れてしまいます。溢れたものは、ほっておけば、体の症状つまり心身症に… 続きを読む »