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一般的な思春期の発達過程 ①前思春期 ②思春期前期

①前思春期の発達課題  10才から12才、つまり、小学校の5年6年あたりの時期を前思春期と言います。この時期は、心はまだ親の掌にあり、しかし、体は親から離れた存在に急速になり始めます。   前思春期は、いまだ、第二次性徴(声変わりとか、陰毛が生えるとか)が始まらないけれど、嵐の前の予感というところです。大人びた、批判的な言動をしたり、言葉が汚くなったり、いわゆる「自我」が少しずつ目覚めてきます。また、身長や体重が急速に増加し、ひょろ長くなり、心と体の成長のアンバランスが始まります。しかし、まだ、子どもは親の「掌の中」にあり、基本的には子どもは親の制御下にあります。一方で、親離れ、自立、社会化といった方向に進んでいく準備が必要であり、他方、まだまだ、親子の物理的な絆を保持しなければなりません。前者は、親や教師のセイフティネット下での、より自分に似た気のあう友達で構成される仲間集団との交流(共… 続きを読む »

一般的な思春期の発達過程

 思春期の発達過程は、自らへの二つの問いにより、始まります。「私は誰?」「私はどこへいこうとしているのか?」。その問いに、通常でも、10年近い歳月をかけてある程度の答えを探していく旅なのです。親や周囲の大人の期待に過剰に応えることをやめることから、その問いは始まります。親の期待を脱ぎ捨てて、自分が自分に現実的な期待をすることに着替えていくプロセスといってもいいでしょう。親はそのプロセスで、しばしば、子どもに、失望し、困惑し、消耗し、腹が立ちます。あるいは取っ組み合いになります。それは、子どもが自らの問いに答えて行こうとするときの、つまり、なにか新しい命が生まれようとするときの、陣痛のようなものともいえるでしょう。それは、非常に大切で意味のあるプロセスなのです。  思春期の発達課題は、大づかみにいうと、「私は誰?」「私はどこへ行こうとしているのか?」という問いに、自ら、体を張って、試行錯誤し… 続きを読む »