月別アーカイブ: 2021年7月

発達障害 ワンポイントアドバイス(3)ADHD特有の「面倒臭がり」について

 ADHD(注意欠如多動症)の子どもは、興味のあることに過剰な注意の集中をしますが、興味の持てないことには、極端にやる気を示せないことがしばしばあります。常に興奮する刺激を求めており、刺激が外からなくなって、何もすることがない時の「退屈感」は、死んだほうがマシというくらい大きく、そういう事態を必死になって回避しようとします。それに一旦、テンションが上がると、なかなかそこから降りてきません。気持の切り替えが困難になります。この辺りは、すべて、子どもと親がぶつかり悪循環が始まる要因です。  別の視点から、「面倒臭がり」を考えると、彼らは「今人間」であり、「先の見通し」や「多様な選択肢」が見えにくいのです。すると、彼らの経験としては、今日やらなくてはいけない事と、3日以内にやればいい事と、1週間以内にやればいい事と、1ヶ月以内にやればいいことが、時間的な奥行きの中に置かれず、スクリーンに投射され… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(2)両親間の対応のズレと噛み合わなさの増強現象

 癇癪をよく起こす子供や、こだわりの強い子に対して、両親の間で考え方や、対応が、大きく割れることがしばしばあります。多くの場合、母親は「寄り添い派」となり、父親は「体育会系のコーチ」みたいになります。これは、思春期一般の発達のプロセスにおいても、両親の間にしばしば生じる現象です。自閉スペクトラムやADHDなどの発達特性や、愛着の不安定さなどがあると、両親の間の「ずれ」「衝突」は、より顕著化します。まず、思春期一般の場合について考えてみましょう。  思春期心性とは、子どもの心の中に、大人に向かおうとする、あるいは大人の方向に押し出されようとする、つまり「自立」に向かう力と、他方、いつまでも親に保護される幼児のままでいたいとする「依存」に向かう力が、ぶつかり合い、折り合いをつけることができないという状態であり、周囲を巻き込みながら右往左往するのです。自分で折り合いのつかない葛藤は、やがて彼らの… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(1)発達障害の癇癪(かんしゃく)について

 思い通りにならないと、あるいは、思い通りの対応をしてもらえないと、「泣きわめく」、「黙り込んで貝になる」、場合によっては、「壁や床に頭を打ち付ける」などの、とても「激しい」、あるいは、とても「硬い」反応が生じ、しばしば、それが長時間に及ぶことがあります。自閉スペクトラム症でよく見られる現象です。  そこでは一体本人はどういう経験をしているのでしょうか。「対処」や「対応」を考える前に(対処や対応は、しばしば、非個性的、一般的な関わりになりがちです)、「本人は一体どういう固有の経験をして、どういうことを私に伝えようとしているのか」と、彼らの内的経験に関心を向けることがとても重要です。そして、「癇癪を介して彼らと私との間で一体何が起きているのであろうか」ということも重要な視点です。  彼らは、とても「過敏」です。「過敏」ということは、感覚的にも過敏であるし、対人関係においても過敏です。彼らは、… 続きを読む »