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発達障害 ワンポイントアドバイス (8) 家事手伝いと「三色野菜理論」②

 さらに、お手伝いは、自分のためにではなくて、皆のためにする行為なので、「大人の部分」を使っていることになります。せっかく、子どもが、洗濯物を畳んでくれたのに、畳み方が気に入らないのでもう一回お母さんがやり直して、「二度手間」だからと、子どもにやらせないということを時々聞きますが、心の発達、成長につながることなので、そこは、じっと忍耐です。ついでに言えば、妙に聞こえるかもしれませんが、「お手伝い」をすると、「堂々と不登校を続けることができる」という感覚になる子どももいます。「堂々と家にいることができる」と、逆説的に学校に行けるということにつながります。つまり、不登校は学校に「身のおき所」がないので、家の中にまず「身のおき所(自己肯定感)」がしっかりできることが必要なのです。ただ、誤解がないようにいうと、自己肯定感としての「身のおき所」は、「お手伝い」の前に、「心の幼児的部分」をしっかりかか… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス (8)家事手伝いと「三色野菜理論」①

 ここまで、しばらく一般的な思春期心性について話してきました。再び発達障害に戻ります。  私は診察場面で、子どもに家事手伝いはやっているかいとよく聞いています。小学生で大体、半分くらいは、全くやっていないと、答えが返ってきます。「言えばやってくれるけれど、ほとんどしません」とそばにいるお母さんが苦笑いします。  不登校の子どもで、終日ダラダラ、ゴロゴロして、ベッドに横になってずっと、ゲームか動画を見て一日を過ごしている。それがもう何ヶ月も続いている、というような親にとっては悩ましい状況をよく聞きます。そういう状況をしばらく許容することも不登校初期には意味があるとしても、何ヶ月もというのは好ましくありません。私は子どもにもしっかり伝わるように、「心の発達と成長にとってお手伝いはとても大事なんだ」と言うことにしています。  「家事手伝い」は、家の中で唯一、子どもが「心の大人の部分」を使う機会で… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(6)子どもの心身症 その2

2)子どもの心身症への対応  関係性の障害としての子どもの心身症という視点で、どのように子どもに関わっていけば良いでしょう。上記の「養育システム」の中に含まれる多様な関係性すべてに目配りをする必要があるので、例えば、家族システム以外に、学校や近隣、親戚の領域で関係性の調整を取り組む必要があることがしばしばあります。例えば、いじめや、友達関係のトラブルなどの時です。しかしその場合でも、親との関係性の中にも反映されてくることがほとんどなので、どのようなケースでも、親子の関係性をどう理解し、どう、関わって行くのかということは常に重要です。   親子の関係性ということを分かりやすく言えば、心を容器例えばコップに例えると、子どもの心のコップは、小さいし、発達特性があればより小さくなるので、不安や恐れ怒りなどの感情は、すぐにコップから溢れてしまいます。溢れたものは、ほっておけば、体の症状つまり心身症に… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(6)子どもの心身症 その1

1)心身症について  「心身症」は、特定の病気を指すのではなく、心理的社会的要因が病気の発症に大きく影響する病気の総称です。そして基本的には「身体」の病気です。例えば、大人でいえば、胃潰瘍、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、気管支喘息、本態性高血圧などです。心理社会的ストレスが、生物学的には脳に作用して身体の機能、自律神経系や免疫系などに影響をおよぼすことによって心身症を形成すると言われています。  一方、精神疾患である「身体表現性障害(ヒステリー、精神神経症)」、そのうち特に「身体化障害」は体の症状が中心ですが、その原因となる体の異常はなく、あっても軽微であり、本質は「心」の病です。また、うつ病などでも、体に異常がないのに体の症状(身体化)が現れることがしばしばあります。過去においては、そうした精神疾患も、心身症の中に入っていたので、現在でも「心身症」という概念は実際にはまだ混乱しています… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(4)心の二階建てモデル

 心の構造を「二階建て」だとすると、二階部分は、小学入学以降、そしてとりわけ、中学入学以降、何かと課題達成が多くなるというところです。それは勉強にしても、運動にしても、習い事にしても然りです。こうした二階部分で、結果が思わしくないと、自信が低下して、自己評価がガタ落ちし、不登校傾向を呈することも多いのです。逆に、不登校傾向の子どもを見ていると、この二階部分が、心の中で拡大しすぎて、「とてつもない課題を押し付けられている」かのように経験されていることが多いのです。実際には、彼らの心の中に「こうでなければならない。ああでなければならない。そうなれない自分はクズだ」というつよい確信があるからです。過敏な子は、周囲が驚くほど自己評価が低いことがよくあります。すると、親は自信をつけさせるために、二階部分を支援することが多い(特に父親は)のですが、多くの場合悪循環となります。全く「二階」をやらないとい… 続きを読む »