大人の発達障害について(2)
前回お話ししたように、一見、社会的に機能しているように見えて実は内的な深刻な空虚感を常に抱えているような方がしばしば精神療法を求めてこられることがあります。しかし、一般的には、少なくとも洞察的な自分の情緒的体験を理解するような、つまり、気づいていない自分の気持ち感情を実感することを目的とした精神分析的精神療法はうまくいきません。 というのも、こうした人たちが求めているのは、「どうしたらいいか」「何をすれば良くなるか」という幾分直線的な課題解決的なことであり、決して自分の情緒的なことを理解しようとするものではないからです。中には、もっと微妙な方々も居られて、こういう方々は相手・周囲に合わせることが得意なので、一見、洞察的な精神療法がうまくいっていいるかのように見えることがありますが、それは、治療者の期待に上手に合わせているだけなのです。 しかし、治療が進むと、自閉のカプセルが早晩割れる… 続きを読む »