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発達障害と集団

 私の専門の一つは、集団精神療法です。個人精神療法も専門ですが、前者は、後者に比べて、予定調和的に展開しません。何が起こるかわからないという怖さがあります。私も毎回怖い、しかし、その怖さがまたとても好きという気分もあります。病みつきになるということもありました。さまざまな個性が集まれば、また集団ゆえの良い意味でも悪い意味でも全体の「圧」が生じ、あるいは「空気」が濃くなるので、一寸先は闇となり、何が出会い頭に起こるか読めません。一応「定型発達」とされる成人である私でも怖いのですが、想定外のことが起こることにとても脆弱な発達障害の子どもたちが、集団場面で過ごすことは、ことのほか、苦痛と混乱を招くのです。だいたい、幼稚園年中くらいから、そうした傾向ははっきりしてきます。1歳半健診、3歳児健診で何も指摘されなくても、年中あたりから、集団の適応に困難を示して、当院の受診を勧められるという子どもも珍し… 続きを読む »