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発達障害ワンポイントアドバイス(11)「時間」その②

 親からの分離はもう一度親にくっつかないと先に進みません。発達特性があると、この辺りで登校しぶりが始ったり、不登校傾向になることがしばしばあります。せっかく自分の部屋を作ってもらい、5年生から一人自室で寝始めたのに、また母親にベタベタ甘えてくる。母親の布団に入ってきたりします。こういう時には、「もういいお兄ちゃんなのにやめなさい」と突き放さないことです。だいたい、布団に入ってきたと思ったら、またすぐに出ていきます。「来るものは拒まず。去るものは追わず」という姿勢が最も良いでしょう。  というのも、この頃になると、学校では背伸びして年齢相応の部分を表に出します。他方で、家に帰るととても幼い部分が前景化し、子どもの中で、「大人的な部分」と「幼児の部分」のギャップに驚くことが珍しくなく、発達特性がある場合は、それが、より顕著になります。そして、数時間のうちでもコロコロと、着せ替え人形のように、「… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス (8) 家事手伝いと「三色野菜理論」②

 さらに、お手伝いは、自分のためにではなくて、皆のためにする行為なので、「大人の部分」を使っていることになります。せっかく、子どもが、洗濯物を畳んでくれたのに、畳み方が気に入らないのでもう一回お母さんがやり直して、「二度手間」だからと、子どもにやらせないということを時々聞きますが、心の発達、成長につながることなので、そこは、じっと忍耐です。ついでに言えば、妙に聞こえるかもしれませんが、「お手伝い」をすると、「堂々と不登校を続けることができる」という感覚になる子どももいます。「堂々と家にいることができる」と、逆説的に学校に行けるということにつながります。つまり、不登校は学校に「身のおき所」がないので、家の中にまず「身のおき所(自己肯定感)」がしっかりできることが必要なのです。ただ、誤解がないようにいうと、自己肯定感としての「身のおき所」は、「お手伝い」の前に、「心の幼児的部分」をしっかりかか… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス (8)家事手伝いと「三色野菜理論」①

 ここまで、しばらく一般的な思春期心性について話してきました。再び発達障害に戻ります。  私は診察場面で、子どもに家事手伝いはやっているかいとよく聞いています。小学生で大体、半分くらいは、全くやっていないと、答えが返ってきます。「言えばやってくれるけれど、ほとんどしません」とそばにいるお母さんが苦笑いします。  不登校の子どもで、終日ダラダラ、ゴロゴロして、ベッドに横になってずっと、ゲームか動画を見て一日を過ごしている。それがもう何ヶ月も続いている、というような親にとっては悩ましい状況をよく聞きます。そういう状況をしばらく許容することも不登校初期には意味があるとしても、何ヶ月もというのは好ましくありません。私は子どもにもしっかり伝わるように、「心の発達と成長にとってお手伝いはとても大事なんだ」と言うことにしています。  「家事手伝い」は、家の中で唯一、子どもが「心の大人の部分」を使う機会で… 続きを読む »