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発達障害 ワンポイントアドバイス(5)ASD(自閉スペクトラム症)と自己評価の極端な低さ

 ASDの子どもが、極端に低い自己評価、自己肯定感を抱いていることはよくあることです。客観的に見て、その子の能力と普段のパフォーマンスと比べて、そうした子どもが、信じられないくらいの低い主観的な自己評価を有していることを知って周囲は驚いたり、戸惑ったりします。その場合、「過敏さ」と「知的な高さ」を併せ持っている場合に顕著に見られるようです。そうした子どもの心では一体何が起きているのでしょうか。まず、そうした子どもは、「ああじゃないといけない」「こうじゃないとあり得ない」という、厳しい要求の縛りがあるようです。周囲にも、彼らが、そうした過大な要求をすることも多いのですが、彼らの経験としては、周囲から過大な要求を常に押し付けられているという風に感じています。実際には、彼の心の中で、暴君的に支配する部分があり、健康だけれど幼い彼自身の別の部分を牛耳っているのです。ASDの治療や支援は、発達特性ゆ… 続きを読む »

発達障害 ワンポイントアドバイス(2)両親間の対応のズレと噛み合わなさの増強現象

 癇癪をよく起こす子供や、こだわりの強い子に対して、両親の間で考え方や、対応が、大きく割れることがしばしばあります。多くの場合、母親は「寄り添い派」となり、父親は「体育会系のコーチ」みたいになります。これは、思春期一般の発達のプロセスにおいても、両親の間にしばしば生じる現象です。自閉スペクトラムやADHDなどの発達特性や、愛着の不安定さなどがあると、両親の間の「ずれ」「衝突」は、より顕著化します。まず、思春期一般の場合について考えてみましょう。  思春期心性とは、子どもの心の中に、大人に向かおうとする、あるいは大人の方向に押し出されようとする、つまり「自立」に向かう力と、他方、いつまでも親に保護される幼児のままでいたいとする「依存」に向かう力が、ぶつかり合い、折り合いをつけることができないという状態であり、周囲を巻き込みながら右往左往するのです。自分で折り合いのつかない葛藤は、やがて彼らの… 続きを読む »